-Lost Japan-失われし愛国
その言葉に何人の人間が殺意を抱いただろう。


それと同時に恐怖を抱いた者も居るだろう。


この行き場のない怒りをどうすれば良いのだろうか?

同志を守れなかった哀しみ。

何も出来なかった悔しさ。

自己嫌悪と言い訳の繰り返しに辛さが満ちて行く。


「呆気なく死んでくれた御陰で興ざめしたな。そこの奴、この"ゴミ"を片付けておけ。」


不機嫌さを滲ませ大きく溜め息を吐き出せば、ミンフォンの亡骸を片付ける役目に指差した先に居たのは不幸にもウェンの姿で、視線を落としたままのウェンを気にする筈もなくWは兵士に護衛されながら屋敷の中へと消えて行った。


「…ウェン…。」


「…良かった。」


「え?」


重なる不幸に心配の声色で名を呟くメイフェイに返って来た言葉に思わずヨウレイは聞き返した。
ミンフォンをゆっくりと十字架から下ろしながら、ウェンは頬に涙を伝わせつつ口元に強がった笑みを浮かべる。


「自分の手で弔えるんだ…、他の奴等に粗末に扱われるよりマシだ。」


「…ええ、そうね。きちんと弔ってあげましょう。」


「ああ、アイツが寂しがらない様に…な。ほら、皆手伝ってくれるそうだしな。」


振り向いたウェンの視界の先には無残な罰を見ていた民の大半が残り、涙ぐみながら祈る者や下ろすのを手伝おうと駆け寄る者達に更に目の奥が熱くなるのを感じた。


──…絶対にこんな世界崩してやる。


そう誓いながら。
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