-Lost Japan-失われし愛国
「ショックか?ショックだろう。安心しろ、売れ残った息子はお前一人だ。」
「……どういう事、だ?」
「他の子供は娘ばかりでな。随分と"高く売れたよ"。息子も、な。」
「…お…お前…ッ!!」
幾重にも重ねられた真実が一枚一枚捲られていく度に、見えない銃弾がシンメイの身を撃ち抜いて、心を囲う壁を貫いていく。
自身の知らない、事柄が、世界が、過去が、明らかになる毎に確実に募っていく殺意。
父に此所まで道具の様に扱われながら、最後まで父を庇った母の気持ちを庇った父が、私欲に塗れた足で踏みにじられた気がした。
「──…す。」
「何だとォー…?」
「…殺す!」
怒りで目の前が真っ白になった。
今まで動かないと思っていた四肢が、痛みを忘れたかの様に自由に動く。
父の体を勢い良く押し返し、父の上にと跨がった。
形勢は、逆転した。
痛みと驚きと恐怖。
三つを混ぜ合わせた表情を浮かべる父の頬を、力一杯殴り付けた。
赤味を帯びる父の頬に、シンメイは僅かな悦びを感じていた…。
「……どういう事、だ?」
「他の子供は娘ばかりでな。随分と"高く売れたよ"。息子も、な。」
「…お…お前…ッ!!」
幾重にも重ねられた真実が一枚一枚捲られていく度に、見えない銃弾がシンメイの身を撃ち抜いて、心を囲う壁を貫いていく。
自身の知らない、事柄が、世界が、過去が、明らかになる毎に確実に募っていく殺意。
父に此所まで道具の様に扱われながら、最後まで父を庇った母の気持ちを庇った父が、私欲に塗れた足で踏みにじられた気がした。
「──…す。」
「何だとォー…?」
「…殺す!」
怒りで目の前が真っ白になった。
今まで動かないと思っていた四肢が、痛みを忘れたかの様に自由に動く。
父の体を勢い良く押し返し、父の上にと跨がった。
形勢は、逆転した。
痛みと驚きと恐怖。
三つを混ぜ合わせた表情を浮かべる父の頬を、力一杯殴り付けた。
赤味を帯びる父の頬に、シンメイは僅かな悦びを感じていた…。