最愛。
思わずその声の主を見た瞬間、目をそらしてしまった。

「えっ、ちょっと!!何、人違いだった?!」

さっき一瞬見た、その顔とこの慌てぶり。

絶対そうだ。そう確信してしまったあたし。

相手にバレないように小さくため息をついてから、振り向いた。

「宇宙だよね…」

顔をひきつらせながら言うあたしとは逆に、目をキラキラさせてる志織。

蒼井 宇宙(あおい そら)

きっと、志織が言うすっごくかっこいい三人の内の一人だとあたしは思う。

その、一人であろう宇宙が、あたしを知ってる訳は、

簡単に言えば、家がお隣の幼なじみだから。

小学校は一緒だったんだけど、頭がいい宇宙は、中学校は私立の方に行ってしまって合うことが少なくなった。

だから、こうして会うのは三年ぶりになる。

小学校の頃から、顔は整っていた。

だけどまさか、ここまでになるとは思いもしなかった。

髪だって絶対染めてるし…

志織と一緒で、回りにはキラキラと目を輝かせて、こちらをずいぶんと羨ましそうに見ている女子。

それは、他のクラスや他学年のひとだった。

まぁ、このクラスには、女子はあたしと志織だけだから、当たり前なんだけど…

先輩さんなんかにも気に入られちゃって、なんかムカつく。
< 6 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop