華の涙
夜
一人の男が来た
名は茂孝。やまさんとの事で
一人、部下を連れて来ていた。
やまさんは花街に行くべきでは無いと
巷で言われているようだが
来る客にやまさんは少なくなく、
男は皆、小汚い生き物だと
更に頭に植え付けられる。
食事をしている中、
私も呼ばれ、彼の元へと向かう
ス…と襖を開け
ペコリとお辞儀をする
「失礼しんす。紫乃と申しんす」
茂孝の目に私が止まる
周りには、芸をする禿や
何人もの芸者、遊女達がいた
……こいつ、遊び慣れてるのか…。