華の涙





熱い視線が交わる。


自然と私の視線が一之助様の唇に落ち、

それが私に触れられるのを望んだ。





「紫乃…」

「一、之助様…」





すると

彼の唇が私の唇に触れた。




望んだ…柔らかい、優しいもの。




ちゅ…とリップ音を立てながら、

角度を変え、段々と深くなっていく…





「ん……っ」




私が声を洩らすと、唇の動きが止まり、

慌てて彼が体を離した。



あ……





「か、かたじけない…!」





本当にあわあわと慌てながらそう言われ、

つい笑みが零れてしまう





「あら…お止めになりんすか?」

「い、いや…武士たる者、女子供には優しくせねば………」

「ふふ……変わったお方でありんすねぇ…」





そう言って笑う私を

不思議そうに見つめる一之助様







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