華の涙
遊女に、キスすら遠慮するなんて…
本当に……どうしようもなく愛しい人。
その日、普段と変わらず
お酒だけを飲み一之助様は帰られた
馴染みになっても
手を出さないような人なんて初めてで…
私の頭には、
いつも一之助様が浮かぶようになった
きっと私は、
一之助様に心奪われたのだろう
早く、早く一之助様に会いたい……
いつもそう思い、
一之助様ばかりを考えていた
彼の声や体温、
笑顔を思い浮かべて
毎日を過ごしていた。