華の涙





シン…とする。



籠の中が険悪な雰囲気に包まれようとするところ…

大笑いをし始める高尾花魁。





「あっははは、遊女が恋!?身の程を知りなんし!」




笑みは一瞬の内に消えて

返ってきたのは痛々しい言葉。



高尾花魁は煙管を投げ折って

私へゆっくり近づいてくる。





「言うておいてやろうか…?お前の淡い恋心など叶いはせん!ここは吉原じゃ…お前はただの遊女に過ぎぬ!!」





突きつけられる現実




私は囚われた鳥籠の中の鳥で…

自由などありはしない。



わかってはいたけれど、

改めて言われると胸がひどく傷んだ





「っ…………」






言い返したい



…けど、本当の事を言われ

私の胸には悲しみが込み上げてきて

俯いてしまう






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