華の涙
けど、私も負けず嫌いの性格…
負けじと私を見下ろす高尾花魁を
キッと睨みつけて反論する
「ふんっ。花魁でもないわっちに、一番お気に入りだった客を取られた気分はどう?…ったく、甚介とは片腹痛いねェ」
挑発するように言うと
高尾花魁は私の着物を掴んで
パシン…ッ…
と、頬を平手打ち。
遊女達から悲鳴が上がり、
暴れる高尾花魁を
男衆が駆け付け止めに入る
「紫乃!!調子に乗るんじゃないよ!っ…離しなんし!」
赤く腫れ、ジンジンと痛む頬を
手で押さえ私も籠の中から出ていく
籠の外では男たちが見ており、
引くどころか
“やれ、やれ”と声を上げていた