華の涙






けど、私も負けず嫌いの性格…

負けじと私を見下ろす高尾花魁を

キッと睨みつけて反論する





「ふんっ。花魁でもないわっちに、一番お気に入りだった客を取られた気分はどう?…ったく、甚介とは片腹痛いねェ」





挑発するように言うと

高尾花魁は私の着物を掴んで




パシン…ッ…




と、頬を平手打ち。




遊女達から悲鳴が上がり、

暴れる高尾花魁を

男衆が駆け付け止めに入る





「紫乃!!調子に乗るんじゃないよ!っ…離しなんし!」




赤く腫れ、ジンジンと痛む頬を

手で押さえ私も籠の中から出ていく




籠の外では男たちが見ており、

引くどころか

“やれ、やれ”と声を上げていた





< 35 / 71 >

この作品をシェア

pagetop