華の涙
黙りこんでいると、
亭主がゆっくり口を開いた
「そういや…お前、一之助と言ったか…」
一之助様の名を言われ、
ピクリと反応すると妖しい笑みを浮かべる
「他の客も、ちゃんと相手しねーなら…二度と会わせねぇからな」
ドクン…ッと大きく心臓が脈打った
一之助様に会えないなんて嫌だ。
亭主の言葉に、
嫌悪感も吐き気が込み上げる。
「っ…好かねぇ」
一つ舌打ちをして
亭主を睨んでその場を後にする。
気に入らない気に入らない気に入らない
苦しくなる胸を押さえて
茂孝の待つ部屋へと向かう