華の涙
そして、
茂孝を一之助様に置き換えて
私はなんとか気を紛らわせた
茂孝の唇、指…
すべてを一之助様に置き換えて。
ああ、一之助様は
こんなふうに私を扱うのだろうか
こんなふうに、
激しくなさる事はあるのだろうか
「っ…紫乃…っ」
茂孝が私の名を呼んだが、
私の瞳には茂孝は映っていなかった
変わりに……全て、一之助様に……
一之助様の香り、笑み、
声、温もり………
一之助様の事を思い出すだけで
自然と心が軽くなって…
幸福に満たされた。
一之助様……
貴方が、恋しい。