華の涙
そして、夕刻
八の字を描きながら
ゆっくりゆっくり歩く私
私の周りには、
見世が傘を差し、提灯を持つ男衆。
新造達や禿を連れての
華やかで派手な花魁道中
新造の頃よりも
もっと高価な着物や飾りを身に付けて歩く私を
皆が恍惚とした表情を浮かべて見る
「おい、見ろよ」
「ありゃあ、相当の上玉だな」
「まだ19らしいぜ」
「ほおーっ、そらすげぇ」
男たちが私を見て、そんな事を言う
ねぇ、朝霧花魁。
覚えてるかい?
私、花魁になったよ………