華の涙





愛おしい人に身請けされ、

これからの将来を共にでき、



私はまた、桜を…

広いさえぎる物のない

大きな空を見る事ができるのだから…





「今思えば…ここに来た事も運命、とまで思う程」





いままのでの苦労を忘れそうなくらい

幸せで……




微笑を浮かべ、

定吉様の方を見る





「定吉様…わっちは、ぬし様に迷惑ばかりかけんした…」





そう言うと定吉様は、ふ…と笑う





「まさか、お前がそんな事を言うとな」






穏やかな瞳。


随分、私も定吉様も長い付き合いだ。





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