華の涙
窓辺に体を寄せて
外を行き交う人々を見る
吉原のこの町も、もう最後
これから、
もう二度と来ることはないだろう
煙管を吹かしながら
この松江屋を眺める
「わっちは…自由の身でありんす……」
明日、一之助様が迎えにきて下さる
わっちを
妻にすると行って下さった一之助様
若くて役者のように美男で、
女なんぞ選びたい放題だろうに
私を選んでくれた
爽やかな笑顔…あの腕の中に
これからはいつも居られるのね……………