華の涙





沈黙が流れ、



「身請けが決まった」




…と、淡々とした口調で朝霧花魁は言った。



驚いて、ゆっくり顔を向ける





「ほ…本当……?」

「はっ、なぁに驚いてんだ」




クスリと笑う朝霧花魁を見て

私は表情が固まってしまう。




朝霧花魁が………行ってしまう………



悲しみに似た気持ちが胸を締め付ける。





「そ…う……」

「ああ。大名様に身請けされた。金持ちのお偉いさんさ」





金持ちの…お偉いさん…





「これで…わっちは外に出る。お前も、早く出られるといいな」








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