帰宅部にお任せを
「何、しているんですか?」
わたしの声は震えていた。
彼女は一旦、目を瞑りそれを開く。
同時にバットから手を離した。
後ろに体重をかけていた颯はもちろん後ろに仰け反りかえり、壁に体をぶつけたがすぐに立ちあがった。
「何って…。知ってるでしょ?わたしがしてきたこと」
恐らくそれは彼女が彼女自身を傷つけるという行為が当てはまる。
「…わたし、憎いの。自分が」
そう言う彼女の瞳はまっすぐにわたし達を見据えていた。
「嫌味っぽいことを言うけどね、わたし自身も自分の才能について否定出来ない。わたしは何でも出来る完璧人間なの」
それから一つ息をはく。
それはどうしようもない溜息に聞こえた。
「…それっていいじゃないって普通の人は羨むでしょ?…でもね、何もいいことなんてないの」
彼女の瞳には黒い影がかかり始めていた…。