帰宅部にお任せを

落ち着いたユマさんをソファーに座らせて、颯はわたし達の元へ戻ってきた。


「行こうぜ」

「大丈夫なの…?」

もっと一緒に居てあげたら?と言うわたしに颯は首を振った。


「大丈夫そうだし、何より疲れてるみたいだから休ませてやれ」

そっか。



「あ、」

颯は何か言い残したことがある様子。

足を止めた。


振り向こうとはしなかった。

彼女に背を向けたまま、彼は言った。



「仲間といる時のお前、作りモノには見えなかった。そこにある友情は本物だったんじゃねぇの。……お前の信頼できる仲間、大切にしろよ」

それだけ言い残して、颯はどこかへ行ってしまった。


後ろ髪ひかれることはなく、前だけを向いて去って行った。


"前だけ向いてればいい"


彼の口から出た言葉が偽りでないことを証明していた。
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