帰宅部にお任せを
「ねえ、颯ー」
よくここを訪れるようになったユマさん。
目的は颯。
誰から見ても見え見えなんだけど、ユマさんは颯に惚れてしまったらしい。
迫られている本人はというと、
「うっぜぇ」
なんてこぼしながらも、まんざらでもないんじゃないのかな。
もしかしたら…、なんて。
ユマさんの頑張っている姿を見たら、わたしも勇気が出てきた。
「楓、」
ぼーっとしている楓に声を掛ける。
「……………なに?」
反応鈍っ!
「あのさ、」
…さあ、声に出せ。
「…たまには遊びに来なさい、だって。椎奈が言ってた。皆、待ってるって」
「……」
それを聞いた楓は目を見開いたかと思うと、また書類に視線を戻した。
やっぱり、まだ言うべきじゃなかったのかも知れない。
…だけど、少しずつ向き合っていかなければならないのだから。
だから、頑張ろう一緒に。
―…ねえ、楓。
---第三話 自分嫌い[END]