帰宅部にお任せを
よろしく、新入部員[前篇]
「気持ちいいー」
両腕をめいっぱい広げて心地のよい風を体全体で感じる。
「真希、毎回それ言ってる」
微笑しながら廉はコンクリートの上に腰を下ろす。
「ここに来ると自然と出てきちゃうんだもんっ」
わたしはそう言い返して、廉の向かいに体育座りをする。
「ばーか、パンツ見えてんだよ」
「廉のヘンタイー」
「っ…うるせーよ」
ここは屋上で、時刻はお昼休み。
わたし達は久々にここでお昼を共にすることになった。
屋上はもともと立ち入り禁止だから、ゆっくりできる。
生徒は誰ひとりとしてここへ入って来れないはず。
わたし達を除いては。
屋上の鍵が古びていたのが幸いだった。
廉が針金を器用に使って開けてくれた。
あの時は人生で一番廉を尊敬したと思う。
なんて言ったら、叩かれるかなきっと。
そういうことで、わたし達は時たまここで時間を共にしているのだ。