帰宅部にお任せを
授業のサボリに使ったりする時もあるけど、そこは勘弁してほしい。
だって、数学わかんないんだもん。
「…今日は烏(からす)一羽もいないね」
そう呟くと、廉は表情を否ませる。
「その話はやめろ」
「あ、まだ気にしてるの?寝ていたら集団で突かれたコト」
「…るせぇよ」
廉はそっぽを向いてしまった。
あーあ。
ご機嫌ナナメにさせちゃった。
…まあ、そのうちこっち向くよね。
最大限に首を駆使して空を見上げる。
コンクリートにつけた手がひんやりとしてそれも心地よい。
この空間が大好きだな、と思う。
でも、単純にこの空間だけが好きなわけでないと思う。
…隣に廉が居てくれるから。
だからより一層心地よいんじゃないのかな。