帰宅部にお任せを
「…あのセクハラ野郎」
ぶつぶつ呟きながらデスクを拭いているのは、このわたし。
あの後、涙が出そうになるまで楓にこちょこちょをされた。
あのくすぐったさといったら…。
思い出すだけで、身震いを催す。
楓、廉、颯、曽良、わたしのデスクを掃除し、残すは十夜のデスクだけ。
「よいしょ」
わたしは十夜のデスクに手をおいた。
と、同時に後ろから何かに飛びつかれる。
「ひっ!」
ポチ
『真希ちゃんっ!』
どうやら抱きついてきたのは曽良のようで、ほっと一安心。
…ひと、あんしん……?
わたしは手に異様な触り心地を感じ、視線を落とした。
わたしの指の下に隠れているのは、少し熱を帯びたエンターキー。
デスクトップに目をやると、『依頼を受けました』の文字。
まさか、
いやいや…
そんな……
「…嘘でしょ?」