帰宅部にお任せを

「すみませんでした!」

まさか、自ら毎日きれいに雑巾掛けしている床におでこをつけることになろうとは、思いもしなかった。


わたしを見下げて仁王立ちしているのは、十夜。

先刻、間違ってわたしが依頼を受けるエンターキーを押してしまったからだ。


「……」

はい、来た無言。

その無言が怖いんだって!!



やがて顎に手を添えていた十夜は、はあー…と息をこぼした。


「これ、もう本人には通知がいってると思うし…やる?楓」

確かに誤った依頼人は今頃、喜んでいるかもしれない。

それなのに今更キャンセルだなんて、帰宅部のただでさえ悪い評判を下げることになる。


話を振られた楓は依頼人の情報らしき書類に目を通してから言った。



「こんなミスがなければとっくにはじきだされてるね、この人」


…ということは。


ふさわしくない人だ。

帰宅部に"来てはいけない"人だったんだ。
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