帰宅部にお任せを
「どうするの、楓…?」
恐る恐る訊くわたし。
すると楓は、さも当然かのように言い放った。
「受けるよ、コレ」
「え?」
「"それ"を押した瞬間からその人は依頼人なんだから、俺達は俺達の仕事をする。…例えそれが、招かれざる客だとしても」
それから楓はこうも付け足した。
「招かれざる客だからそれなりの対処をするよ」
本当に申し訳ない気持ちになった。
帰宅部の皆にも、そして何より依頼人に対して。
楓の言っている『それなりの対処』は嫌な予感がする。
きっとこの人は、帰宅部に感謝することはないと思う。
そして、それは皆にも嫌な仕事をさせることと同じだ。
わたしがあのキーを押さなければ良かったんだ。
後悔の波が押し寄せる。
「楓…酷いことはやめて」
弱々しい声でお願いをする。
しかし、それは楓の耳には届かなかった。
「ごめん」
その言葉は聞きたくなかったよ…。