帰宅部にお任せを
開いた扉から堂々と登場したのは、巻き髪ロングのお嬢様を漂わせる生徒だった。
「まあ、汚いお部屋…!」
お嬢様は早々、顔をしかめる。
一応毎日掃除をしていて、一生懸命床まで磨いてるのに……!
出だしの印象は最悪だ。
そしてお嬢様はおしとやかな足取りでやっと楓のところまで辿り着いた。
その間、5分。
(ちなみに通常は1分も満たない)
楓は、やっとソファに腰を掛けたお嬢様にいつもの台詞を言った。
「いらっしゃいませ。綾小路 由美(あやのこうじ ゆみ)お嬢様」
綾小路ってあの財閥の!?
しかも、楓がお嬢様って……。
…どうやらこの人、じゃなくてこのお方は育ちのいいお嬢様らしい。
「まず、お話前に一つお訊きしたいことがあります」
わたしは、楓のその言葉に首を傾げた。
いつもならさっさと本題にうつる楓が、今日はそうしないなんて。