帰宅部にお任せを

中庭が近付くと、わたし達は息を潜めて"皆"がいるであろう茂みへ向かった。

そこへ着くと、もう楓と十夜、そしてお嬢様が来ていた。


「遅いんだけど」

そう迎えてくれる楓に対してお嬢様は非常におとなしかった。

きっとわたし達に気付いてないのだろう。


お嬢様の視線は中庭の中心で、綺麗な姿勢を保っている丸山さんに向けられているからだ。

お嬢様は笑ってはいなかった。

深刻そうな表情をして、たまにごくんと唾を飲み込みながら、丸山さんだけをただ見つめていた。



わたし達も身を潜めること5分弱。

丸山さんの前には二人の男子が現れた。

それはうちの最強タッグ、颯と曽良だった。


「こんにちはぁ♪」

曽良はまず、可愛く挨拶をしてみせた。

「いつもお世話になっております」

丁寧にお辞儀を返されてヘコんでいたけれど。



挨拶が済んだところで、今度は颯が舌舐めずりをした。


「さあーて、」
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