帰宅部にお任せを
「最後の一発いっちゃう?」
「俺にやらせろよ!」
颯は拳を見せびらかし、一歩前に出た。
「…じゃあ、行くか、」
颯が拳を振り上げる。
わたし達がそれをごくんと息を呑もうとすると、風のようなものが通過していき、それを遮られた。
きた…!
わたしは、この風を待っていた。
「ま、待ちなさい!!」
視線を戻すと、丸山さんの前でお嬢様が両手を広げていた。
まるで、丸山さんを庇うように…。
「はあ?」
折角のイイところを台無しにされた颯は超不機嫌。
その睨みにお嬢様もビクつく。
「…ま、待ちなさいって言ってる…でしょ!」
お嬢様は広げていた両手をもう一度ピンと張った。
こちらもこのままじゃ依頼がこなせない。
今度は曽良が前に出てきた。
「どいてくれません?依頼人サン」
"依頼人"という文字を強調させると、丸山さんが『え』と言葉を漏らし、お嬢様を見上げた。