帰宅部にお任せを

「…お嬢様が頼まれたのですか?」

「!!」

丸山さんの瞳から自分の瞳を逸らすお嬢様。

それは『YES』と頷いたようなものだ。


「…そうですか」

丸山さんが一瞬見せた悲しい表情。

「……」

何も言えないまま、俯くお嬢様。


胸が痛んだ。




「…帰宅部のお二方、」

沈黙を破ったのはうちの颯や曽良でもなく、丸山さんだった。

二人はというと、首を傾げる。


「続けて下さい」

「な、何言ってるのあなた!」

お嬢様がそれをまた制そうとする。



丸山さんは掴まれた腕を愛おしそうに見つめた。


「…わたしはあなたの下僕です。お嬢様のお望み通りなるがままです」
< 72 / 121 >

この作品をシェア

pagetop