帰宅部にお任せを
「確かに、わたしはあなたたちに依頼を頼んだわ。お金もきちんと払った。…この子に嫌われているのはわかりきったことなのに、カッとなってつい依頼してしまったの。本当にわたしは馬鹿だわ」
お嬢様は視線を落とした。
それからそれを丸山さんに向ける。
「ずっとこの子を下僕、下僕って言ってきた。この子もそれでいいみたいだったし。この関係だから今まで喧嘩なんてしたことなくて、この子はわたしの傍にずっと居てくれたの。
これからもこのままでいいって、思ってたわ。
…わたしはこの子を失うのが嫌だったから、この子がわたしの傍を離れていくのが嫌だったの。
だから主と下僕の関係に位置づけたの」
「…でも、わかったわ。この関係は間違ってるって」
そこで初めて丸山さんが『お嬢様?』と反応した。
彼氏に別れ話でも切り出された彼女のような表情をしていた。
「帰宅部の皆さん、」
茂みに身を潜めているわたし達にも目を向けるお嬢様。
隣の楓が立ったので、わたしも廉もついでに十夜もつられて立ち上がった。
「依頼を取り消して下さい!私の友達を傷つけないで下さい!!」
"友達"
その響きは澄み渡った空に広がった。