帰宅部にお任せを

自分嫌い


「えっ!椎奈(しいな)!?」

受話器を握るわたしは、ひどく驚いていた。


「真希、久しぶりっ」

耳に届く懐かしい声。


受話器越しの彼女は関(せき) 椎奈といって、わたしと同じく高校2年生。

それでもって、わたしの親友だ。



「そっちの調子はどう?」

早々、そんなことを尋ねてくる彼女。

まるで、離れたところに住んでいるみたいに。

『みたい』というか実際そうなのだけれど。



彼女は隣の県に住んでいる。

わたし達は遠距離恋愛ならぬ、遠距離友愛をしている。



だけど最近はすっかり帰宅部が忙しくて、連絡を取り合っていなかったっけ。


「うん、何とか楽しくやってるよ」

わたしはそう答えると、彼女は安心したように『そっか』と呟く。




それから、付け足すように椎奈は訊いた。


「楓君も、元気?」

と―…。
< 79 / 121 >

この作品をシェア

pagetop