帰宅部にお任せを
自分嫌い
「えっ!椎奈(しいな)!?」
受話器を握るわたしは、ひどく驚いていた。
「真希、久しぶりっ」
耳に届く懐かしい声。
受話器越しの彼女は関(せき) 椎奈といって、わたしと同じく高校2年生。
それでもって、わたしの親友だ。
「そっちの調子はどう?」
早々、そんなことを尋ねてくる彼女。
まるで、離れたところに住んでいるみたいに。
『みたい』というか実際そうなのだけれど。
彼女は隣の県に住んでいる。
わたし達は遠距離恋愛ならぬ、遠距離友愛をしている。
だけど最近はすっかり帰宅部が忙しくて、連絡を取り合っていなかったっけ。
「うん、何とか楽しくやってるよ」
わたしはそう答えると、彼女は安心したように『そっか』と呟く。
それから、付け足すように椎奈は訊いた。
「楓君も、元気?」
と―…。