帰宅部にお任せを
楓のことまで知っている彼女。
わたし達の関係が始まったのは、中学生に入学したての頃だった…。
過ごした場所は今現在、椎奈の住む場所―……
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先ほどまで隣にいたはずの楓は、すっかり他の小学校からきた男子に囲まれて談笑をしていた。
同じ小学校でも仲の良い友達が少ないわたしは、唯一の仲の良い楓を取られてしまい、たちまち一人ぼっちになった。
「(楓の、裏切り者…)」
口をへの字に曲げながら、心細さからか机の木目ばかりに目がいってしまう。
そんな時、声を掛けてくれたのが椎奈だった。
「ねぇ、友達になろうよ!」
彼女の明るい声掛けは、今で鮮明に記録している。
それからわたしと椎奈、たまに楓も混ざってそれなりに楽しい学校生活をおくっていた。
あの時、まで―…。
三人で進学するつもりだった高校に実際通っているのは、椎奈だけ。
わたしと楓は、隣の県の現在通っている高校へ入学した。
「…お父さんとお母さん、元気…?」
家族もいない。
本当の二人ぼっちで、
わたし達は今、ここにいる。