帰宅部にお任せを
「…何これ?」
テーブルの上で帰宅部全員の注目を集めているのは、一通の手紙だった。
「楓の下駄箱に入っていたらしいよ」
十夜が眼鏡をくいっと持ち上げながら答える。
下駄箱に、手紙ねえ…。
…ってことは、もしかして!
「現金だったりしてねえ…」
曽良はクスっと笑みを浮かべて、手紙に手を伸ばした。
「駄目!」
わたしはそれを制す。
「何でぇ?」
首を傾げて、手紙の返還を求める曽良。
思わず胸がきゅうんとする。
おっと、いけない。
だって、もしかしたらこれは―…
「…ラ、ラブレターかも知れないじゃないっ」
「「「「「はあ?」」」」」
あー、この男の輪の中で恥ずかしいったら何の。
別にわたしが書いたわけじゃないのに、わたしの頬は紅潮して思わず俯いてしまった。