帰宅部にお任せを

「まあ、その時はその時でいいじゃん?」

楓はそう言って、皆の前で手紙を開けようとした。


いやいやいやいや、


「駄目ったら、駄目!」

わたしはまたその手紙を奪い返した。


「はあ…相変わらずうるさいやつ…」


「うるさくて結構!とにかく、皆が見えないところで見てきてよね」

そう言って、楓の背中を押す。


「…いつもと違って、随分風変わりなラブレターだね」

楓はピラピラと手紙を人差し指と親指で持ち上げながら、ここを離れた。


って、何でラブレター慣れしてるの!?


…だけどよくよく考えてみると、あいつは顔だけはいい奴だから、性格を知らない女子が告白しにくるっていうのも無いとは言えない。

あの鬼畜のどこがいいのだか…。

複雑な気持ちで、わたしは楓の帰りを待った。


といっても楓はすぐに戻ってきたので、『待った』とは言えないようなもので。


「…ちゃんと隅々まで読んできたの?」

疑いの眼差しを向けると鼻でふんと笑われた。


「真希と違って、トロくないからね」


…ムカツク!
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