secret name ~猫と私~
よくわからない気持ちを抱えながら、佳乃は夕暮れの中を、荷物を両手に持ったセッテと歩いた。
「寒ないか?まだ春言うても、微妙やわ。」
ほころび始めた街路樹のつぼみを見ながら、はぁ、と眉をひそめる。
そのしぐささえ、絵になっていた。
春物のコートを羽織っても、少し肌寒い。
「・・・そうね。」
同じ街路樹を佳乃も見上げた。
まだ開いている花はないが、咲くころには暖かくなっているはずだ。
地元で毎年行われる花見祭りを思い出した。
幼い頃楽しみだったあの祭りにも、もうずいぶん行っていない。
忙しくて、季節毎のイベントを楽しむ余裕も無く、過ぎて行った一年。
もうすぐ、新しい季節が始まる。
この先課長となる自分に、何が待っているのか。
不安のだらけの中、セッテの笑顔が少しだけ勇気をくれる。
・・・佳乃は、そんな気がした。
「寒ないか?まだ春言うても、微妙やわ。」
ほころび始めた街路樹のつぼみを見ながら、はぁ、と眉をひそめる。
そのしぐささえ、絵になっていた。
春物のコートを羽織っても、少し肌寒い。
「・・・そうね。」
同じ街路樹を佳乃も見上げた。
まだ開いている花はないが、咲くころには暖かくなっているはずだ。
地元で毎年行われる花見祭りを思い出した。
幼い頃楽しみだったあの祭りにも、もうずいぶん行っていない。
忙しくて、季節毎のイベントを楽しむ余裕も無く、過ぎて行った一年。
もうすぐ、新しい季節が始まる。
この先課長となる自分に、何が待っているのか。
不安のだらけの中、セッテの笑顔が少しだけ勇気をくれる。
・・・佳乃は、そんな気がした。