secret name ~猫と私~
頭の中で蘇る、セッテの笑顔、声、先程の後ろ姿。
振り払うように、小さく頭を振る。

「そんなわけないって。相手は・・・」

「猫だから?」

「そうよ。」

そうだ。
セッテは猫だ。
ずっとそばに居てくれるわけでは、無い。
契約期間なんて、あっという間に終わってしまう。
先程もそう思ったばかりなのに、どうしてこうも、胸の奥が重苦しく痛むのか。

「“猫”を、言い訳にするのは、失礼じゃない?」

鋭い香里の言葉が、佳乃の心にダイレクトに刺さる。
反論しようにも出来ないのは、彼女の言っている事が、自分で納得出来てしまったからか。

(私に嫌味を言われた子達、こんな気分だったのかな・・・)

ふと蘇るのは、いつでもセッテになってしまっていた。
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