secret name ~猫と私~
(そうよ。私には、仕事がある。)

課長と言う肩書に押しつぶされないように、頑張らなければ。

(恋なんて・・・してる場合じゃない。)

それに、猫に恋をしないでくださいと、書いてあったではないか。

忘れよう。
忘れなければ。

(仕事に没頭すれば、忘れられる。)

仕事ばかりで遠ざかっていた、趣味を再開するのもいいかもしれない。

恋をしている自分が、佳乃は嫌いだ。
自分が自分で無くなるような。
更には、女の部分が浮き彫りになってしまうようで、どうにも好きになれない。

「できたでー!」

呼ばれて、テーブルに着く。
向かいに座ったセッテが、今日も笑顔で話しかけてくる。
相変わらず彩の良い朝食を平らげながら、彼の顔を極力見ないように努力した。


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