secret name ~猫と私~
毎日手の込んだおかずがずらりと並び、それが綺麗に配置され、彩られている。
自分では到底、こんな弁当は作れない。

「どや?今日の出来栄え。」

「96点。」

「あと4点か~・・・」

セッテが作ってくれた弁当の点数を採点する。
いつものことなのに、こんなやりとりさえ嬉しい。

(・・・なに、嬉しいって。若い子じゃあるまいし。)

もう35歳だ。
これしきのことで喜んでどうする。

そんな自分に呆れながら、今日も美味しい弁当を完食した。
話すと変に緊張してしまうので、今までと違ってほとんど無言。
だから、食べ終わるのも早かった。

「ごちそうさまでした。」

「お粗末さまでした。明日は100点とったるからな!」

そう言って笑うセッテに、そっけなく「頑張ってね」と言って、さっさとデスクに戻る。
これ以上は、いつも通りに振る舞えそうになかった。

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