secret name ~猫と私~
サーバーダウンのお陰で、今日は皆定時であがった。
佳乃もその一人だ。

残ってやれることもあるが、どっと疲れたので帰ることにした。
それに、自分がいては他の社員達は帰り辛いだろう。
ドラッグストアに寄りたかったし、ちょうどいい。

帰宅者の多い社内。
そのなかでセッテを伴って歩くのは、人目を引く。
隣に並んでいるわけではないが、半歩斜め後ろなので、明白なのである。
やはり一緒に帰るのだと、ひそひそ話す声が聞こえてきそうだ。

気にしていたらきりがなさそうなので、無視して通り過ぎる。
セッテも同じ気持ちらしく、特に気にした様子は無いので安心した。

外に出れば太陽は沈みきっておらず、街灯もまだ点いていなかった。
朝早くから夜遅くまで建物のなかにいると、季節を感じがたい。


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