secret name ~猫と私~
それから、どうやってデスクに戻ったのか、あまり覚えていない。

会話は頭に入らないし、全てが他人事のように思える。
こんなことではだめだと頭ではわかっていても、資料が頭に入らない。

(今日はもう、定時で上がろう・・・)

このままでは仕事にならないし、仕事が出来ないならば会社に居ても仕方が無いので、帰る事を決めた。
セッテとも一緒に居られる状態ではないから、どこかへ飲みに出るのも手だ。
この間のように、帰ってもらえばいい。

くじけそうになりながらも業務をきちんとこなし、定時のチャイムを聞くと、佳乃はさっさと立ち上がった。

「お疲れ様でした。お先に・・・」

「高村課長、お疲れ様です。」

今から帰る事をセッテにも告げず、部署を出る。
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