secret name ~猫と私~
今日は大切な会議も無かったので、それだけが救いだ。

「ほな、俺もお先に失礼します!お疲れさまでした~」

「七海君、お疲れ様~」

愛想良く手を振りながら、セッテは佳乃の後を慌てて追いかける。

いつもよりも速足で、佳乃の背中は遠ざかっていた。

「なんか、変やで?」

追いついて話しかけても、佳乃は答えずにずんずん歩いて行ってしまう。

「高村さん!」

「おかしなところなんて、ないわよ。」

そう言っている時点で、おかしいのに。
佳乃もセッテも分かっていて、押し黙る。
社長室で話をしていた時から、様子がおかしかったのはセッテも気付いていた。
しかし、何に対して反応したのかが分からない。

「俺、なんかしたやろか?」

恐る恐る、聞いてみる。
自分が何か彼女にしてしまったのなら、猫失格だ。
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