secret name ~猫と私~

パサリ。

マニュアルを封書に入れ直してからテーブルに置き、代わりにペットボトルを持って重たい足取りで寝室に向かう。

明日も忙しいのだから、もう寝なければ。
おかしな面接と、ふざけた飼い主マニュアルのせいで、今日は本当に疲れた。
肉体的というよりは、精神的に。
明日の朝派遣すると言われた“猫”は、本当に来るのだろうか。
社長は猫に信頼を寄せていたが、不安は残る。

ペットボトルに残ったミネラルウォーターを一口飲み、ベッド近くのサイドテーブルに置いた。
それからベッドに仰向けに倒れ込んで羽毛布団に潜り込み、ゆっくりと目だけで時計を探す。

暗闇で光ったデジタル時計の時刻は、いつの間にか夜中の1時を刻んでいた。
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