secret name ~猫と私~
サーバーが直った朝。
並んだ2人を思い出して、悲しい笑いがこぼれた。

(こんな年増が、相手にしてもらおうなんて方がおかしいのかもね。)

諦めにも似た感情で自分自身をけなしても、鼻の奥がつんと痛むだけだった。

セッテは褒め上手だ。

それに気付きながら、舞い上がっていた自分が恥ずかしい。

佳乃の知る限り、ノーヴェは物静かで、無表情。
自分が見てきたセッテとは正反対だから、彼はノーヴェに惹かれたのだろうか。
それとも、プライベートでは違う一面を覗かせるのだろうか。

“あいつ、連絡なしで帰らんかったんや。”

どれほど心配したのか、朝からいつもと違った様子を見ていた佳乃は、分かっているつもりだ。
いつも冷静で穏やかなセッテが動揺するほど、大事な存在なのだろう。

< 180 / 259 >

この作品をシェア

pagetop