secret name ~猫と私~
今頃、セッテとノーヴェは一緒に過ごしているのかもしれない。
恋人同士なのだし、早く帰れた日は平日でも会いたいと思うこともあるだろう。
彼らは寮に住んでいると言っていたから、そうすることは簡単だ。

マニュアルにも書いてあった通り、猫に恋をしてはいけなかったのだ。
規則を破ったからこそ、傷付いた。

そう思う事で、少しでも痛みから逃げたかった。

(でもまさか、社長から聞くとは思わなかったな・・・)

グラスの中の氷をくるくると回しながら、ぼんやりとそれを見つめる。

彼に恋人がいると知るのなら、せめてきちんと自分の気持ちを告白して、断られる時であればよかった。
そうだったら、もっとスッキリ出来たかもしれない。

現実は、他人の口から出た質問に、彼が答えたのを聞いただけ。

それが一番、悲しかった。


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