secret name ～猫と私～

翌朝。

気持ちを切り替えられないまま、セッテがマンションに来た。

いつもの笑顔。
いつもの挨拶。

そして、慣れた様子で、キッチンを使う。
セッテは一生懸命に佳乃に話しかけてくれていたが、佳乃は返事を返すのみ。お世辞にも、話が盛り上がっているとは言えなかった。

昨日から変わってしまった佳乃の様子を、セッテは注意深く観察していた。
手は止めず、彼女にも気付かれないように。

昨日。
社長室に呼ばれた後から、彼女の様子はおかしかった。
社長室で何があったというのだろう。
契約期間が１ヶ月だという話と、自分のプライベートの事を、少し。
それだけしか話をしていないはずだ。
だったら、そのどちらかに、原因があるはずである。