secret name ~猫と私~
そこまで考えて、セッテはやめた。
考えても仕方が無いのだ。
だって、社長が言った通り、あと1ヶ月。
契約期間を過ぎれば、佳乃と二度と会うことも無いだろう。

これ以上深入りしては、いけない。

「高村さん、今日の夕飯、リクエストあったら言うてや?」

「・・・ないわ。」

素っ気ない返事。
セッテは「わかった。」とだけ返事をして、出来あがった朝食を並べた。
今日も彩りはいいはずだ。
毎日仕事のあとに、寮で調理師の免許を持つ猫に相談にのってもらっている
セッテの料理の腕は、その猫に習ったものだ。
もちろん、もともと簡単なものなら自分で調理していたが、ここまできちんと配色まで気にしたことは無かった。

いつもなら、弾むはずの会話。
なのに今日は全く弾まず、それどころか始終暗い。
どう話しかけて良いものかと思い、きっかけを探すも、佳乃は全身でそれを拒絶しているように見えた。
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