secret name ~猫と私~
その態度に腹が立って、八つ当たりだと分かっていても、しゃべりかけずにはいられなくなった。

「休憩なの?」

佳乃の苛立ちなど無関心なのか、ノーヴェは、また頷く。
短めの髪がさらりと揺れた。
その回数を、カウントでもしたい気分だ。

手に持った缶ジュースを開ける気配も無く、ノーヴェは自販機を佳乃に譲った。

「・・・ねぇ。」

自販機にお金を入れて、佳乃は好きな缶コーヒーのボタンを押しながら、話しかける。

「セッテ君と、付き合っていたのね。」

言いたくないのに、聞きたくないのに。
口をついて出たのは、そんな言葉。

(私・・・何を聞いてるの?馬鹿みたい・・・)

自嘲気味に小さく笑う。
聞きたくないのは事実だが、詳しく知りたいのもまた、事実。
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