secret name ~猫と私~
ノーヴェは嫉妬したり、問い詰めたりしなかった。

「嬉しいなら、嬉しそうにするといいよ。」

アルコールのせいなのか、うっすらと頬は赤みを帯びて、彼女はいつもより饒舌だ。
そんなに酒には強くない。
しかし、大切な恋人の前で、他の女性に告白をされたからと言って、嬉しそうにするのもどうかと思う。

言った張本人は涼しい顔で、寮備え付けの小さな冷蔵庫へ向かい、食べ物を物色していた。

「嬉しそうにて・・・ジブンの前で出来るわけないやろ。」

冷蔵庫の前の彼女の背中に、語りかける。

「なんで?」

「なんでて・・・そら・・・」

冷蔵庫からプリンやつまみを出してきて、ノーヴェはセッテの前に座った。
あろうことか、本気で不思議そうな顔をしている。

(鈍すぎやろ・・・!)

言葉が見つからずに葛藤しているセッテをよそに、甘いものが好きなノーヴェは嬉しそうにプリンを食べ始めた。
セッテの前にも、チーズやスナックが並んでいる。
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