secret name ~猫と私~
嬉しそうと言っても、多分近しい者にしかわからないほどの微小な変化だが、それでもセッテにはすぐわかる。
表現力の乏しい彼女には、誰かに好意を寄せられた喜びと、プリンを食べる喜びが、同じ“嬉しい”なのだろう。
知ってはいても、複雑な気分だ。
まるで、自分の事もプリンと同じように思われているようで。
あと少しだったグラスの中のビールを飲みきると、すかさずノーヴェは注いできた。
目の前のクリームチーズをひとつつまんで、小さくかじる。
彼女の素直な意見は、きっと正しい。
好意を寄せられて、嬉しかった。
ただ、それをすぐにあらわせなかった。
恋人に嬉しかったかと聞かれるまで、動揺の方が大きすぎて、気付くのが遅かったのだ。
あの時とっさに出たありがとうの言葉には、その気持ちが込められなかったから、自分を好きだと言った彼女は傷付いただろう。
(俺、まだまだ未熟や・・・)
ノーヴェの方が素直なぶん、言葉は少ないが相手に伝わるものがある。
だが、自分はどうだ。
言葉ばかり達者なくせに、肝心な事はいつも伝えられない。
クアットロと話したおかげで、猫としての自信は取り戻したものの、佳乃を傷つけて、自分の未熟で何も言えなかった事が、胸に引っかかって消化出来ない。
アルコールで流し込もうとしたのが、間違いだったのか。
表現力の乏しい彼女には、誰かに好意を寄せられた喜びと、プリンを食べる喜びが、同じ“嬉しい”なのだろう。
知ってはいても、複雑な気分だ。
まるで、自分の事もプリンと同じように思われているようで。
あと少しだったグラスの中のビールを飲みきると、すかさずノーヴェは注いできた。
目の前のクリームチーズをひとつつまんで、小さくかじる。
彼女の素直な意見は、きっと正しい。
好意を寄せられて、嬉しかった。
ただ、それをすぐにあらわせなかった。
恋人に嬉しかったかと聞かれるまで、動揺の方が大きすぎて、気付くのが遅かったのだ。
あの時とっさに出たありがとうの言葉には、その気持ちが込められなかったから、自分を好きだと言った彼女は傷付いただろう。
(俺、まだまだ未熟や・・・)
ノーヴェの方が素直なぶん、言葉は少ないが相手に伝わるものがある。
だが、自分はどうだ。
言葉ばかり達者なくせに、肝心な事はいつも伝えられない。
クアットロと話したおかげで、猫としての自信は取り戻したものの、佳乃を傷つけて、自分の未熟で何も言えなかった事が、胸に引っかかって消化出来ない。
アルコールで流し込もうとしたのが、間違いだったのか。