secret name ~猫と私~
満員電車を降りて、会社へ向かう。

電車の中では話す余裕が無かったので、その短い道中に何とか“猫”の情報を集めなければ、モヤモヤして仕事も手に着かないかもしれない。
そんなことになるぐらいならば、ここで聞いてしまった方がいいだろう。
まさか自分のもとに“猫”がくるなんて思わなかったし、彼らの存在は噂程度しか知らない。
それも、『いるらしい』ぐらいの曖昧な噂だ。

「・・・ねぇ、質問したいのだけれど。」

佳乃の呼びかけに、すぐさま振り向いたセッテは、笑顔がまぶしかった。

「ええよ、答えられる範疇でなら・・・やけど。」

「それでいいわ。ねぇ、猫って何なの?」

「知らんと雇ったん?」

一瞬、くっきりとした二重の目を丸くしてから、勇気あるわーと笑いながら、セッテは簡単に説明してくれた。

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