secret name ~猫と私~
(私とは、正反対……か。)
小さく溜め息を吐けば、すぐさまセッテは佳乃に声をかけてくる。
「主任、そろそろお疲れやないですか?休憩、されてへんでしょう?」
声をかけられれば、女性社員の視線が痛い程に集まってきた。
今の佳乃にとっては、いらぬ気遣いだ。
「いりません、休憩なんて。今はそれよりも、目の前の企画書の訂正案を出さなければ。」
そっけなくあしらうと、セッテの眉がまた下がった。
「せやけど・・・」
「ちょっと、この書類。訂正まだ?」
「あ、す、すみません主任・・・」
呼びかけると、先程セッテに声をかけていた女性社員が、オドオドと名乗り出た。
思わず溜め息を吐くと、目の前の彼女が縮こまってしまい、内心しまったと思う。