secret name ~猫と私~
「主任、ちょお・・・主任、待ちや!」

彼の言葉を無視して、慣れた通路をズンズンと大股で歩いて行く。
就業中なのであまり廊下に人はいないが、それでもオフィスの中からチラチラと視線を感じた。

「高村さん!」

「何よ。」

いい加減呼ばれるのにうんざりして、足を止めて振り返る。
そこには困った顔のセッテが居た。

「そないにはよ歩かんでも。」

「時間は止まってはくれないの。ただでさえ押してるんだから、早くこの書類を・・・」

そこまで言うと、佳乃は再び歩きだしたが、すぐに追い越したセッテが前に回り、行く手を遮った。
長い足が恨めしい。

「アホ!そういうお届け物の仕事こそ、俺を使うべきやろ!」

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