secret name ~猫と私~
呆れたように腕を組み、セッテに溜め息を吐かれる。
必要に迫られて再び足を止めた佳乃は、彼の態度に面食らったが、一瞬でいつもの表情に戻った。

「彼女、貴方にフォローしてもらいたいんでしょ。わからないの?」

彼女、とは、佳乃が叱ってしまった社員である。
小さく頼りない背中は、誰かの慰めを求めていた。
無意識なのか、庇護欲をかきたてる仕草で。
男性ほきっとああいう、かわいらしい女性に惹かれるのではないのか。
自分も女性だが、なんとなくそう感じる。

だが、セッテはそんなことかと小さく肩をすくめ、少し上から佳乃を見降ろした。

「そんなん、俺の仕事やないし。」

「でも、人間関係の構築は必要ではないの?」



「別にええやん。俺の仕事は高村さんのサポートであって、他の女の子と仲良おする事とちゃう。」



セッテは当たり前のように言いきった。

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